研究概要 |
分割したルシフェラーゼを再構成させる独自の技術を用いて,二波長の発光測定により,細胞内cAMP濃度を定量評価できる新規プローブを開発した.二波長測光型cAMP検出発光プローブは,ブラジル産ヒカリコメツキムシルシフェラーゼ(ELuc)(極大波長538nm)のN末端側断片(ELucN),プロテインキナーゼAの制御サブユニット由来のcAMP結合ドメイン(PKA-BD),ジャマイカ産ヒカリコメツキムシルシフェラーゼCBRの変異型C末端側断片(McLuc1),CBR(極大波長613nm)のN末端側断片(CBRN)からなる融合タンパク質の構造を持つ.本プローブは,538nmの発光ではcAMP濃度に依存した発光強度上昇を示すのに対して,613nmの発光ではcAMP濃度に依らず,ほぼ一定の発光強度を示すことが明らかとなった.また,二波長の発光強度比(538nm/613nm)は,cAMPに対する高い選択性と濃度依存性を示した.プローブを発現させた生細胞および動物個体を用いた解析において,本プローブは高い定量性を持ち,生細胞内でリアルタイムに起こるcAMP濃度変化を非侵襲的に可視化検出できることが実証された.(Anal.Chem.,(2010)) Gタンパク質共役受容体(GPCR)に作用する化学物質のライブラリースクリーニング法を確立するために,GPCR-β-アレスチン間相互作用を定量検出する技術革新を行った.GPCR-β-アレスチン間相互作用は535nmの発光で検出し,細胞数のコントロールとして赤色ルシフェラーゼを同時発現する系を確立した.その結果,細胞数や基質濃度のばらつきを補正することにより,精度の優れたアッセイ系を確立することができた.(Pharmaceuticals,(2011))
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