研究実績の概要 |
内在性mRNAの1分子可視化検出が可能で,細胞内で遺伝子工学的に産生できるプローブ分子を開発した.本プローブは,緑色蛍光タンパク質(EGFP)のN末端断片およびC末端断片をそれぞれ異なるPumilio相同ドメイン(Pum-HD)変異体に結合した,2つの融合タンパク質からなる.プローブが目的mRNAに結合すると,2つのEGFP断片が近接し,再構成することで蛍光が回復する.開発したプローブにより,β―アクチンmRNA1分子の可視化に成功した.さらに,微小管上を輸送されるβ-アクチンmRNA動態の可視化に成功した. 鉄道虫由来のルシフェラーゼを内部標準に用いて,GPCR 活性化の検出系の精度を大幅に向上させた.ルシフェラーゼ断片を連結した GPCR および β-アレスチンと共に鉄道虫ルシフェラーゼを安定的に発現する細胞株を樹立し,GPCR–β-アレスチン間のタンパク質間相互作用を定量検出した.我々は,4種のGPCR(β2-アドレナリン受容体,α2-アドレナリン受容体,エンドセリン受容体タイプA,μ-オピオイド受容体)に対して,リガンド濃度依存的な活性化を高精度で発光検出することに成功した. 新規SUMO化タンパク質を同定するために, 蛍光タンパク質再構成の原理を用いて, 生きた細胞中でSUMO化を光シグナルで捉える手法を開発した. この原理を用いて網羅的にSUMO化候補タンパク質をスクリーニングする方法を確立するために, FACSを用いた. スクリーニングの対象としてマウスの遺伝子ライブラリを選択し, ライブラリそれぞれの未知タンパク質に対して分割蛍光タンパク質を繋げたシリーズを作製した. そのシリーズを細胞に導入しFACSで蛍光性細胞を単離することで, SUMO化タンパク質の候補を含む細胞群を回収した. その結果, 33個のSUMO化タンパク質候補の同定に成功した.
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