研究概要 |
本研究では、強い電子相関により、高温での金属-絶縁体転移、強磁性転移など新奇物性を示す遷移金属酸化物において、ナノサイズ超構造、及びナノヘテロ構造を作製し、物性発現の源である最小単位の強相関電子相をバイアス電圧・温度・光により制御できる技術・方法論を確立し強相関エレクトロニクスを創出することを目的とした。 (1)昨年作製したと有機ゲート絶縁膜パリレンを用いたFET構造に比して、さらに強力な電界印加が可能なイオン液体ゲートを有する薄膜型(Fe_<3-x>Zn_x)O_4-電界効果トランジスタを作製し、化学変化と静電キャリアドーピングによる二つの電界効果が存在し、組成により動作モードを制御し、酸化還元に基づくユニークなデバイスの作製可能性を見出した。 (2) Al_2O_3(0001)基板上に200nm幅のVO_2ナノワイヤをナノインプリント法により作成しバルク材料を凌駕する巨大な温度誘起/電流誘起金属絶縁体相転移を実現した(ナノ構造増感効果)。ランダムレジスターネットワークモデルによるシミュレーションにより約50nmサイズの強相関金属ドメインが制限空間にトラップされた結果生じる現象であることを明らかにした。このサイズは前年度までに明らかにしたVO_2マイクロワイヤで見出した現象に比して1/200のスケールダウンに成功したものである。 (3)昨年度確立した、極小サイズ(50nm以下)のナノデバイス形成が可能な"3DナノテンプレートPLD法"を用い、極小サイズの強相関酸化物VO_2, (La, Pr, Ca)MnO_3ナノウオールワイヤの作製に成功した。さらに(La, Pr, Ca)MnO_3ナノウオールワイヤにおいても、通常の薄膜試料に比して格段に急峻な温度誘起および磁場誘起金属-絶縁体転移を見出した。
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