研究課題
昨年度までは,シロアリの社会組織化に関わるシグナル分子伝達機構の解明のために,発生マーカーとなる遺伝子を多数単離することに成功し,リアルタイム定量PCRなどにより発現動態の解析をおこなった.また,フェロモン腺特異的に発現するタンパクを二次元電気泳動ゲル画像解析システムにより同定し,下記に述べるトランスクリプトーム解析の結果と合わせて遺伝子の同定およびqPCRによる発現動態の解析まで行った.更に,社会行動に関わる神経機構を解明するため,生体アミンを一とする神経伝達物質の解析も進め,行動傾向とアミン濃度との関連性が示唆されている.本年度は,カースト分化に伴う発生プロセスの改変に関しては,引き続き,遺伝子のクローニングをしつつ,発現動態を網羅的に解析し,シロアリのカースト分化過程でのボディプランの解析に関する研究を行い成果を上げた.特に,最近のゲノミクスの進展を大いに利用すべく,RNAseq法による網羅的遺伝子発現をシロアリ数種で開始した.既にシーケンスの結果は得られており,本年度はバイオインフォマティクスを駆使した解析により膨大なデータを得ている.更に,機能解析のためRNA干渉法を精力的に行い,遺伝子機能の阻害によって機能を推定することに成功し,いくつかは論文として発表した.更には,カースト特異的な道しるべフェロモンの同定やカースト分化を制御するプライマーフェロモンなどの同定や分析もガスクロマトグラフィーを用いて行い,シロアリの社会構築におけるフェロモン分子の役割についての示唆を得た.次世代シーケンシング技術を用いた解析は,際だった成果を上げつつあり,テーマも多岐にわたってきているため,最終年度の1年前に基盤Aを申請した結果採択された.このため,若手研究Sとしては24年度が最終年度となるが,次年度以降も引き続きシロアリのソシオゲノミクスに関する解析を継続して行う.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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