哺乳類オートファゴソーム形成初期過程に必要なULK1-Atg13-FIP200複合体に結合する新たな因子としてAtg101を同定した。Atg101はオートファゴソーム形成に必須であり、Atg13の安定性やリン酸化レベルの維持に重要であることを明らかにした。この、ULK1-Atg13-FIP200-Atg101複合体を含めて、哺乳類Atg因子は5つのモジュールに分類することが可能であり、それぞれのモジュールの機能欠損細胞を用いてその階層構造を解析したところ、ULK1-Atg13-FIP200-Atg101複合体が小胞体の一部にまず局在化し、それに依存してクラスIII PI3キナーゼ複合体であるAtg14-Beclin 1-Vps34-p150がリクルートされることが判明した。ここまでの過程はPI3キナーゼに非依存的であった。その後、PI3Pのエフェクターと考えられるDFCP1、WIPI-1がリクルートされ、最終的にAtg12-Atg5-Atg16L複合体とLC3-PEが加わってオートファゴソーム形成が完了するというモデルを作るに至った。その過程で、PI3キナーゼ阻害剤を用いてオートファゴソーム形成を初期ステップで止めると、そこに小胞体タンパク質であるVMP-1が共存することを見いだした。このことはオートファゴソーム形成にはVMP-1を含む微小ドメインが重要な役割を果たしていることを示唆する。このドメインは小胞体のExit siteやERGICなどの既存の構造体とは直接関係無いため、新規の特殊なドメインである可能性が考えられた。またこの解析には含まれなかったAtg2の哺乳類ホモログとしてのAtg2-1、Atg2-2の同定にも成功しそれらがオートファゴソーム形成に必要であることも明らかにした。
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