研究課題
生殖は遺伝の根幹を成す生命現象であり、植物にとって種子生産に直結する重要な過程であるが、特に生殖細胞の初期発生過程を制御する遺伝システムは、そのほとんどが未解明である。イネ生殖細胞の初期発生過程で特異的に機能するARGONOUTE蛋白質 MEL1、そして減数分裂進行に必須のイネ蛋白質MEL2の機能解析を中心に、植物の生殖細胞初期発生過程を制御する機構の解明を目指す。本年度の成果は以下の通りである ;(1) MEL1蛋白質と結合する小分子RNAの同定と解析昨年度、MEL1と結合する小分子RNAは、イネゲノムの1000カ所以上の主に遺伝子間領域に由来することが示された。本年度は次世代シーケンシングにより、それらの領域から蛋白質をコードしていない700種類以上の長鎖ノンコーディングRNA (lincRNA)が生殖成長期への移行後に転写され、小分子RNAの生合成経路に供給されることを明らかにした。小分子RNAの配列解析からMEL1が標的とする遺伝子の絞り込みを試みたが、候補遺伝子の数が非常に多いため達成できなかった。現在、解析条件の再検討を行っている。(2) MEL2蛋白質の機能解析昨年度、MEL2蛋白質が結合する約12塩基長のRNAコンセンサス配列を同定した。本年度は、更に同配列への結合の特異性を確認する作業を行い、結合には同コンセンサス配列で必要充分であることを明らかにした。また、5万を超えるイネcDNA配列情報から、同コンセンサス配列をもつ249遺伝子をMEL2標的候補遺伝子として抽出した。
(抄録なし)
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