研究概要 |
生産計画,資源の最適利用,環境汚染の最小化,通信資源の有効利用といった多くの社会的・工学的に重要な問題は,組合せ最適化問題としてモデル化されるが,現実的な計算時間で最適解を導くのは不可能とされるNP困難と呼ばれるクラスに属することが知られている.さらにこれらの多くの問題では,理論的には精度保証のある近似解を得ることすら難しい.一方,理論的な意味での解の精度保証は難しくとも,実用上は十分有効な解を得ることのできるメタヒューリスティクス解法(タブー探索,アニーリング法,遺伝アルゴリズムなどを含む)も多く提案されており,実用上は十分良い近似解を得ることができる問題も多い.本研究の目的は,メタ戦略の中でも特に,近傍探索パラダイムに基づくアルゴリズムの有用性に理論的裏付けを与えることによる.さらにはその理論をもとに,これまで職人技に頼ってきた高性能アルゴリズムの設計に見通しの良い方法論を与えることにある. 平成22年度は有限グラフ上のランダムウォーク(アニーリング法は遷移確率を温度パラメータで変更しながら探索を行うランダムウォークである),各種グラフ最適化問題の局所変形に関する結果とこの近似可能/不可能性について結果を得た.
|