研究概要 |
本研究では,ユビキタス環境におけるコンテキストを考慮したトレーサビリティの概念を,理論的および実証的に研究する.そこで,現実のコンテキスト,つまりおかれた状況に関する情報を用いてトレーサビリティを向上することを目指す. 本年度は,特に人間の行動を認識する技術に注目し,種々の行動の認識を試みた。まず昨年度集めた実生活上の大量のラベル付き行動データを用いて認識を行ったところ,既存技術ではまだまだ課題が多いことを確認した。これらの課題を解決するために,時間軸方向において正確な情報を獲得するために,セグメンテーションの技術を開発し,認識精度が向上することを確認した。セグメンテーションはオフラインでしか適用できないという欠点はある物の,我々の手法では複数粒度でのセグメンテーションを可能とし,またその情報を使ってアノテーション(ラベル付け)の補助とするアイデアや,時間補正のヒントとするアイデア,行動認識の特徴量とするなど,種々の手法が思い出され,来年度の取り組みの題材が抱負に生まれた。 また,実際に看護師の実務における本物の行動データを半年間に渡って大量に収集した。このデータは他に無い大量のデータとなっており,かつ,入退室のRFID履歴や患者のセンサデータとセットになっており,今後の行動認識対象として興味深いものとなっている。 さらに,ラジオ体操などのアプリケーションを想定した行動認識手法も開発し,スマートフォンなどの携帯での実装の目処をつけた.来年度このようなシステムを実装し,実際に利用者に使ってもらう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,コンテキスト認識の精度向上に注力する。これまでにラベル付きデータが十分に集まったが,まだ認識精度が十分とは言えない。企業などとの議論においても,精度さえ上がれば多くの応用分野が見込めるため,適切な特徴量の発見と選択,多次元の特徴量でも精度を確保できる学習アルゴリズムを探索する.
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