研究課題/領域番号 |
21680012
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
長谷川 晶一 東京工業大学, 精密工学研究所, 准教授 (10323833)
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キーワード | 力覚インタフェース / マルチスケールシミュレーション / マルチレートシミュレーション / 物理シミュレーション / 触覚 / 材質感提示 / イベントベースハプティック |
研究概要 |
本研究の目的は、知覚特性に基づいた階層的な物理シミュレーションに基づく力と振動の提示により、質感や接触状態を提示可能な力触覚バーチャルリアリティ(VR)環境を構築することである。 階層的な物理シミュレーションと提示力計算については、昨年度提案した6自由度力覚レンダリングのための中間表現を物理シミュレーションソフトウェアに統合した。力積を用いたマルチレートシステムとの統合を実現した。従来から開発を続けているオープンソース物理エンジンSpringheadに6自由度のマルチレート力覚レンダリングを統合し、ソフトウェアの段階で利用可能な状態で公開するための準備を進めた。力覚インタフェースを既存のソフトウェアで利用する場合、力覚インタフェースが必要とする1kHzの制御ループを実現することが、大きな障壁になる。マルチレートシステムでは、既存ソフトウェアの更新速度を変えずに、力覚レンダリングだけを高速更新することで力覚インタフェースを利用できる。これにより既存のアプリケーションに用意に力覚インタフェースを統合できるようになる。 局所動力学シミュレーションとの統合では、大域シミュレーション側の動力学特徴量の抽出作業が非常に煩雑になった。今後アルゴリズムの整理を進め、統合していきたい。 振動特徴量計測と振動提示の研究については、計測装置の剛性が不足し、寄生振動の影響が無視できなかった。剛性の高い装置で実験を行うため、装置の作成を進めた。 また、振動のシミュレーションについては、有限要素法とそのための四面体分割を自動的に行うソフトウェアフレームワークの開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マルチレートシステムのための6自由度力覚レンダリングの重要性に着目し、この課題に先に取り組んだ。タッピング時の振動計測の方法を確立するために、予想以上に試行錯誤を要している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き質感判別に影響を与える振動特徴量の特定のための実験を行う。 また、有限要素法に基づく振動生成・伝搬のシミュレーションの研究を進める。 さらに、ソフトウェアフレームワークとして、物理エンジン・マルチレート6自由度力覚レンダリング・局所シミュレーションを統合し、利用しやすい形で公開したい。
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