研究課題
平成22年度は、主にセンシング手法開発と、実験システム構築とを行った。高速可変焦点レンズと高速ビジョンシステムとを組み合わせた高速フォーカスビジョンは、焦点位置を高速に切り替えながら瞬時に多くの画像を計測できる。焦点距離をある範囲内で前後にスキャンしながら高速に画像を計測することで、同じシーンについて異なる合焦位置の画像群をごく短い時間内(例えば1ms)に得ることができる。この画像群は対象の三次元情報を含んでいるので、時系列の画像群から対象の三次元的な運動を抽出するアルゴリズムを研究・開発した。計算機上での数値実験と、実機を用いた実験の両方から提案手法を評価した結果、対象の三次元的な速度の推定が可能であり、その際に光学系のディストーションの補正が重要であることがわかった。また、ミリ秒オーダの応答時間をもつガルバノミラーを用いて、高速に視線方向を切り替えることができる光学系であるサッカードミラーシステムの改良を行った。具体的にはカメラのカラー化、フルハイビジョン対応光学系の開発と、より高速なガルバノミラーへのハードウェア切り替えとを行った。カメラのカラー化により、色を用いたトラッキングを可能とし、これに対応する画像処理アルゴリズムを開発して搭載した。これによって、対象の色情報を用いてさらに安定したトラッキングが行えるようになった。光学系はフルハイビジョン対応になるよう設計され、放送業界の要求にも十分答えられる性能を持つ試作品を構築した。ガルバノミラーの高速化はミラーの小型化によって実現し、これによりステップ応答が従来の7msから3.5msに短縮され、より安定したトラッキングが実現できるようになった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
日本ロボット学会誌
巻: 29 ページ: 201-211
画像ラボ
巻: Vol.21, No.9 ページ: 16-22
http://www.k2.t.u-tokyo.ac.jp/mvf/index-j.html