本研究では,従来固定されてきたカメラの所々の特性を能動的に変化させることにより,従来のカメラでは撮影が不可能であった画像撮影を実現する.従来はレンズやフィルタなど屈折率や透過率,偏光特性の変化しない受動光学素子を受光光学系に用いてきたが,このシステムでは電気信号により特性の変化する能動光学素子を用いる.具体的には,カメラの絞りに反射型液晶素子LCoSを用いて,自由に能動的な絞りパターンを設定して画像を撮像できる符号化絞りカメラを試作実装した.また,撮影中にカメラののフォーカスを能動的に制御出来フォーカススイープカメラも試作実装した. これらの高度画像センシングカメラを用いて新たな画像計測手法を複数提案した.具体的には,2枚の絞りパターンを組み合わせることで,連続する2枚の画像を異なる絞り形状で撮影する.それで得られた画像には,異なる奥行きボケが含まれ,それらを比較することでシーンの奥行きを推定することができる.能動絞りカメラにより,最適化された絞り形状を用いて計測することで,従来の同様の奥行き推定手法に対して著しく高性能の手法を確立した.また,能動絞りでは高速に絞り形状を変化させることができる.絞りの開口位置を変化させると,カメラの視点を変化させることが出来るため,ライトフィールドと呼ばれる多視点画像を絞り変化により計測できる.提案した能動絞りカメラでは,ビデオレートで視点変化が可能となるため,従来に比べて高速で高効率なライトフィールド計測を可能とした. さらには,フォーカススイープカメラを用いて奥行き復元が可能な新しい能動光学計測手法を新たに提案した.この提案手法は,フォーカス変化により符号化するため,前述の符号化絞りに対して,画像のSN比の観点から有利であり,実際より高性能の奥行き復元を実現した.
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