研究概要 |
ロボットが,人間の話すことばや振る舞いを認識し,人間のように流暢にことばを話し,人間の行うゼスチャに似た直感的なゼスチャを行うことができる日が近づきつつある.これらのロボットの認知・行動能力が人間に十分に近づいたとき,ロボットはどのように自然に人間に情報を伝えるべきだろうか?そして,自然に人々と会話するロボットが実現されれば,人々は人工物であるロボットと,まるで人々と関わり合うかのように自然に関わり合うのだろうか?本研究ではこれらの疑問に答えるべく,センサ情報処理よりも,むしろ高次の情報処理に着目して,自然な対話を行うロボットの基本メカニズムを研究する. 2年目である本年は,インタラクションの際の情報量と,情報が多くなる場合の対処方法について検討を進めた.情報が多くなりすぎた場合にどのような対処をすべきか,検討した結果,従来研究でとった間合いを増やす戦略よりも,話速を遅くする方が,一般的な対話でも違和感なく使えそうであることから,話速と情報量,について焦点を絞って研究を進めることにした.また,予備的検討を行う中で,情報量と言う言葉よりも,ユーザの認知負荷(情報を処理する負荷量)という視点から物事をとらえる方が理解がしやすいことに気がついた.また,認知負荷が高くなる実際的な場面について検討し,展示案内ロボットなどでよくある,一緒に歩きながら情報を話す場合と,立ち止まって話す場合について注目することにした.これらについて実験を行った結果,人同士の対話の場合と違って,ロボットに対してはやや遅い話速が好まれること,歩いている場面ではさらに遅い話速が好まれることが見出された.現在,この結果について,論文に執筆中である.なお,一年目に進めた立ち位置に関する結果は,ロボット学会誌に採録された.
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