研究概要 |
ロボットが,人間の話すことばや振る舞いを認識し,人間のように流暢にことばを話し,人間の行うゼスチャに似た直感的なゼスチャを行うことができる日が近づきつつある.これらのロボットの認知・行動能力が人間に十分に近づいたとき,ロボットはどのように自然に人間に情報を伝えるべきだろうか?そして,自然に人々と会話するロボットが実現されれば,人々は人工物であるロボットと,まるで人々と関わり合うかのように自然に関わり合うのだろうか?本研究ではこれらの疑問に答えるべく,センサ情報処理よりも,むしろ高次の情報処理に着目して,自然な対話を行うロボットの基本メカニズムの研究を進めた. 3年目である本年は,ロボットに対する社会的な振る舞いとその背後の推論の関係を調査した.ロボットが,挨拶する,指を指す,といった人同士が行うような対話をしたときに,ユーザーは,人に対して行うのと同様の社会的振る舞いを見せること,一方で,ロボットが判断を誤る,といった事象が起きたときにはその責任をロボットに少しだけ帰属するなど,人とも無生物とも異なる推論が起きること,が分かった.自然さが増しつつあるロボットが,人でもモノでも無い新たな存在となりつつあることが明らかになってきた.なお,昨年度に行った話速と認知負荷に関する実験については,結果を分析し,必要となった追加実験なども行いながら論文にまとめる活動を進め,インタラクションに関する研究で著名なInteraction Studies誌への採録に至った.
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