平成24年度は、本プロジェクトの最終年度ということで、これまでに作り上げてきたPDBの既 知と未知のリガンド結合ペアを全て含むデータベースPossumの増強を行った。その結果、登録さ れているペアの数が増加し、より内容が充実した。また、Omegaを用いて各リガンドに対して配 座を発生させ、その間の類似ペアをSketchSortアルゴリズムにかけて列挙するところまでは実験 を行ったが、その解析に時間がかかっており、プロジェクト終了までに論文投稿することができ なかった。この点に関しては今後の課題としたい。Possumに関する口頭発表も積極的に行い、特 に生命医薬情報学連合大会で発表したポスター「Possum: A Database for Predicting Protein- Ligand Interactions」は、最優秀ポスター賞を受賞した。プロジェクト終了後もこのデータ ベースの改良は続けて行きたい。特に構造ベースのインシリコ創薬に対する機能の充実を目指し たい。これまで扱ってこなかったタンパク-核酸、タンパク-タンパク相互作用面のような大きな 結合部位も積極的にデータベースに組み込んでいく予定である。近年、ビッグデータに注目が集 まる中、あらゆる企業が高速アルゴリズムに注目している。2012年11月に、情報処理学会の主催 の連続シリーズ「ビッグデータとスマートな社会」の第5回「ビッグデータに立ち向かう機械学 習」の中で行った講演「大量データと類似度検索技術」の中でも発表を行 い、リクルートなど、複数の企業関係者からの問い合わせを得た。本プロジェクトの成果は、バ イオ分野だけでなく、様々な方向性に発展すると期待している。
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