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本研究では、ラットの線条体における運動情報と報酬情報の統合の過程を投射の異なる細胞型レベルで調べることを目指した。これまでに独自開発した運動課題の自動訓練装置(特許出願中)を活用し、脳定位固定状態の覚醒ラットに報酬交替性の前肢自発運動課題を効率よく学習させた。そして、前肢の自発運動を発現中に、線条体背外側部の単一神経細胞の発火活動を傍細胞記録法で観察するとともに、一次運動野に16チャンネルのシリコンプローブを挿入して多数の神経細胞の発火活動もマルチユニット記録法により計測した。傍細胞記録した細胞は、ドーパミンD1受容体のmRNAの発現をin situハイブリダイゼーション法により検出するとともに、オピオイドμ受容体に対する免疫組織染色により線条体のパッチ・マトリックス構造への帰属を判定した。50頭を超えるラットに運動訓練を施し、運動および報酬予測・獲得に関連する発火活動を示す多数の線条体細胞を記録し同定した。そのなかには大脳基底核の直接路として黒質網様部などへ投射すると考えられるD1陽性の中型有棘細胞や、間接路として淡蒼球へ投射すると考えられるD1陰性の中型有棘細胞や、高頻度で発火するアセチルコリン作動性と考えられる介在細胞などが含まれていた。この結果に加えて、運動野のマルチユニット活動の特性も詳細に解析して、運動野から投射を受ける大脳基底核の直接路と間接路の投射経路の役割を解明した。
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