生活習慣病に深く関わっているグルコースやコレステロールなどを検出対象として単分子膜や高分子から成る絶縁性マトリックス膜を構成する分子の分子間相互作用を考慮した分子鋳型膜の設計および作製について検討した。また、生活習慣病健診チップはディスポーザブルであることが好ましいため、チップを構成する基材としてプラスチックへの金薄膜形成とその電極としての適用について検討した。その際、形状を自由に制御できるプラスチック材を基板とした蒸着や、イオンスパッタ法、金ナノ粒子を用いた無電解めっきを適用して電極を作製し、その表面観察や電気的性質などの評価とともに、上記分子鋳型を形成した電極についてセンシング特性を検討した。ナノ粒子を用いて作製した金ナノ粒子膜ではセンサ応答が増大する効果が得られ、電極表面に存在する微細な構造がその電流応答を増幅するものと考えられる。一方、電極構造をナノレベルで規制するために表面粗さが10~数十ナノメートル以下を目指し、使い捨て電極の作製について検討中である。また、皮膚成分を抽出する際の溶媒について検討するため、さまざまな有機溶媒について抽出を行い、抽出溶液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した。加えて溶媒が皮膚に与える影響についても検討した。 これらの成果について、学術誌(日本分析化学会誌「分析化学」誌、Research on Chemical Intermediates誌、Analytical Chimica Acta誌)への掲載、国内学会(日本MRS学会、日本分析化学会など)での発表を行った。
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