本研究では、次世代のモデリングフリー術前計画支援の確立を目指し、三次元医用画像における人体・臓器の局所構造・力学特性の統合表現法を開発する。三次元医用画像の空間全体を求める表現に応じてサンプリングし、かつ、局所構造と力学条件をバックグラウンドで併せ持つ新たなメッシュの概念を提案する。初年度は、本概念を具現化する記述形式と力学変形演算・可視化の基本アルゴリズムを開発することを目指した。具体的な研究成果は下記のとおりである。 (1) 三次元医用画像における構造・力学特性の統合記述形式の開発 三次元医用画像に構造・力学特性を統合するための基本構造となる新しいメッシュ(ボリューム代替メッシュ)の概念について探究し、その具体的な記述形式を定めた。 (2) 生体内部・臓器の局所力学特性の付与方式の開発 三次元医用画像を硬組織からなる非変形領域と軟組織からなる変形領域に分類し、レンダリングされた像に対して直接的に弾性値などの境界条件を付与することで即座に変形解析を可能とする枠組みを開発した。 (3) ボリューム代替メッシュにおける実時間力学演算アルゴリズムの開発 押込・引張などの変形操作や切除などの表現を可能とする新規アルゴリズムを開発した。単一臓器のモデリングでは難しかった周辺の血管・軟組織を含めた変形などのシミュレートを可能とした。 (4) ボリューム代替メッシュの時間変化に対応したボリューム可視化法の開発 力学計算によって時間変化するメッシュの頂点位置や位相構造を、三次元医用画像上に変形や加工の結果として可視化するレンダリングアルゴリズムを開発した。
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