本年度は、臓器の空間分布や弾性情報を保持したボリュームサンプリングメッシュを症例や手術に合わせてカスタマイズする方法について検討した。また、術前計画の中で手術中に想定される手術プロセスの可視化・共有を可能とする弾性変形計算・レンダリング方法を開発した。 (1)ボリュームサンプリングメッシュのカスタマイズ法の開発 初年度に構成したメッシュの頂点配置や位相構造を、画像の特徴量、手術対象部位などを指標として患者個人のCT画像に位置合わせすることによって、手術に特化した弾性変形を患者ボリューム像上に即座に表現可能とする方法を開発した。 (2)ボリュームサンプリングメッシュを用いた外科手術プロセス表現法の開発 手術中には組織のひねりや回転を伴う大変形が生じるが、実時間で自然な大変形を安定的に表現できるモデルは報告例がない。本研究では局所座標系に基づく弾性変形モデルを開発し、体積を保存した臓器変形を高速に表現可能であることを確認した。 (3)大規模三次元画像の特徴量に基づく実時間ボリューム可視化法の開発 次世代の大規模三次元医用画像に対応して汎用PC上でリアルタイム可視化を可能とするアルゴリズムの開発を試みた。GPUコンピューティングを駆使し、画像の特徴量に基づく詳細度制御によって高速化を図る新規レンダリング法を考案し、テストデータを用いてその有効性を確認した。
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