研究概要 |
本申請者らは、重粒子線がん治療における治療計画精度の向上を目的として、高速撮影が原理的に可能な唯一の方法であると考えられる「増感紙とCCDカメラを用いた医用重粒子線CT」の検討を行っている。 とりわけ、本申請課題では、本手法を臨床応用する際に必要となる「高速化、及び低被ばく化」の実現に向けた3次元画像収集システム構築に関する検討を遂行することを研究目的としている。まず初年度である平成21年度においては、高感度&高速連続撮影が可能な最新のEMCCDカメラ(Andor社製,iXonEM+897)を新たに準備し、新規データ収集システムの構築に関する研究を遂行した。また、これら構築されたシステムを用いて、平成21年度放射線医学研究所重粒子線がん治療装置等共同利用「増感紙-EMCCDシステムを用いた重粒子線CTにおける高精度3次元画像収集法の検討・研究代表者、村石浩」で確保された炭素線加速器マシーンタイム(年5回)を用いた実際の照射テスト実験を遂行した。その結果、従来のシステムによる3時間撮影に対し、新規システムでは、撮影時間を15分まで短縮してもこれまでの画質を維持することが可能な結果が得られた。一方で、炭素線ビームはシンクロトロン加速器より供給されるため、ビーム強度が3秒ごとに変動しながら供給される。そのため、我々が目標とする15分撮影により実際の断層像を得るためには、ビーム強度を別途モニターしておき、後のオフライン解析でフィードバックする必要がある。そこで、平成21年度においては、更に、重粒子線ビーム強度モニター用大型平行平板電離箱を製作し、X線による性能評価を同時に遂行したところである。次年度である平成22年においては、このビーム強度モニターとCCDカメラによる同時撮影実験を遂行し、15分撮影による断層像取得に挑む予定である。
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