本研究では、重粒子線がん治療における治療計画精度の向上を目的として、「増感紙とCCDカメラを用いた医用重粒子線CT」の検討を行っている。とりわけ、本申請課題では、本手法を臨床応用する際に必要となる「高速化、及び低被ばく化」の実現に向けた3次元画像収集システム構築に関する検討を遂行することを研究目的としている。2年目である平成22年度においては、CCDカメラによる投影像の撮影中に変動する照射ビーム強度を別途モニターすることを目的として、撮影被写体の上流側に大型平行平板電離箱(応用技研、AE-132P、φ220mm)を新たに設置し、ビーム強度をリアルタイムでモニター可能なシステムを新たに構築した(電離箱による収集電荷Q[nC]を、デジタルマルチメータ(横河電機、7562)でA/D変換後、GP-IB経由でオンラインシステムにリアルタイムで保存)。この構築されたシステムを用いて、平成22年度放射線医学研究所重粒子線がん治療装置等共同利用「増感紙-EMCCDシステムを用いた重粒子線CTにおける高精度3次元画像収集法の検討・研究代表者、村石浩」で確保した重粒子線加速器マシーンタイム(年4回)を用いて、実際の重粒子線を用いたテスト撮影実験を遂行した。その結果、ビームモニターによる収集電荷量は、CCDによる撮影画像の画素値の時間変化を、我々が目標とする13フレーム(1秒あたり13枚の撮影)の範囲内で、十分再現可能であることが示された。最終年度である平成23年度においては、この構築された高速CTシステムを用いて、さまざまな電子密度評価ファントムの撮影を遂行し、我々が目標とする15分の高速CT撮影において、撮影条件や分解能について総合的に調査を行う予定である。
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