研究概要 |
研究1 腱特性と筋線維組成との関係 本研究では、腱特性と筋線維組成(最大twitchトルクまでの到達時間より推定)との関係を検証することを目的とした。50名の成人男性を対象とし、膝伸筋鮮および足底屈筋群における腱組織の最大伸張量、ステイッフネスを測定した。併せて超最大刺激によるtwitchトルクを誘発し、その最大トルクに到達するまでの時間(Time to peak torque ; TPT)を筋線維組成の指標として測定した。その結果、膝伸筋群および足底屈筋群ともに、TPTと腱特性(最大伸張量、ステイッフネス〉との間には有意な相関関係が認められなかった。以上の結果より、筋線維組成と腱特性との間には関連がないことが明らかになった(Kubo & Ikebukuro, 2010 Muscle & Nerve)。 研究2 温熱時間が腱の血液循環に及ぼす影響 本研究では、ホットパックによる温熱刺激が筋および腱の血液循環に及ぼす変化から、適切な温熱時間を提示することを目的とした。下腿部をホットパック(表面温度55度)で60分間覆い、その間の腓腹筋およびアキレス腱の血液量および酸素飽和度を測定した。その結果、筋および腱ともに温熱開始から10~15分経過後から有意な血液量および酸素飽和度の増加を示した。その増加は約35分程度まで続き、それ以降はプラトーになった。スポーツ現場や医療現場では、皮膚温や筋温の変化(温熱開始後10分程度で増加が頭打ちになる)から15~30分の治療時間が採用されている(e.g.Giombi et al. 2002)。しかし本研究の結果より、損傷部位の治療を促進するために各組織の血液量や酸素濃度を高く保つためには、35分以上の温熱時間が必要である可能性が示唆された(論文投稿中)。
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