研究課題
本研究課題は、世界および日本のトップアスリートにおける核ゲノムおよびミトコンドリアゲノム(mtDNA)多型を網羅的に解析し、筋・骨格系や循環器系・代謝系の能力などを規定する遺伝子多型を明らかにすることが目的である。特に、今年度は、日本人のトップアスリートの競技力を規定する遺伝子多型を明らかにすることであった。そこで、瞬発系・パワー系および持久系運動能力を規定する遺伝子多型の全貌を明らかにするために、国際大会出場経験のある短距離走選手48名および長距離走選手48名の計96名を対象として、全ゲノム関連解析(GWAS)を実施した。GWASは、ヒトゲノム上に点在する75万種の遺伝子多型を網羅的に解析するHumanOmni1Express-12 BeadChipを用いた。解析した75万多型の頻度をx2検定で比較すると、両群間で極めて大きく頻度が異なる5種の遺伝子多型を同定した(P<0.00001)。この5種の多型は、TGFB2、CNTNAP4、SVEP4、PROC遺伝子領域で見つかり、一般的に細胞の分化や増殖、細胞接着、細胞間連携、および血液粘性などに関わることで知られている遺伝子であった。この中には筋線維組成やヘマトクリット値などを決定する重要な遺伝子が含まれている可能性がある。また、国際大会出場経験のある日本人トップアスリート146名のmtDNA全塩基配列を決定し、すでに解析を終えている日本人672名のデータと比較検討した。その結果、持久系の運動能力に関連する7種の多型、ならびに瞬発系の運動能力に関連する9種の多型を同定した。これらの多型は、主にミトコンドリアハプログループG、G2a、D4e2およびD4gを規定する多型やミトコンドリアの量を規定する制御領域の多型であった。これらの知見は、遺伝情報を元にした適性種目の選択やオーダーメードトレーニング方法の開発のための基礎となる可能性がある。
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