研究課題
キャベツやブロッコリーなどアブラナ科植物などに豊富に含まれている含硫化合物であるイソチオシアネート類(ITCs)は、動物実験や疫学研究の結果などからも、最も重要度の高いがん予防食品因子の一つであると考えられている。興味あることに、ITCsによるがん予防の中心的役割を担っていると考えられている解毒酵素誘導や細胞周期停止活性、またアポトーシス誘導活性は、比較的限られた濃度域でのみ特定の生理活性が発現する。個々の生理活性発現機構は部分的に詳細な検討がなされているが、このようなITCsが誘導する様々な生理活性を体系的に捕らえた報告はこれまでに無い。本研究は分析化学的手法(質量分析)とITCsの生物化学的特徴を考慮した統計学的手法(多変量解析)を組み合わせることにより、生体内におけるITCsの標的タンパク質、さらにその標的アミノ酸を網羅的に同定し、従来の手法では明らかにすることができなかったブラックボックスである多様なITCsの生理活性発現メカニズムの解明を目指す。本年度は、benzyl ITC (BITC)およびphenylethyl ITC (PEITC)とモデルペプチドとしてウシインスリンを緩衝液中で反応させ、V8プロテアーゼで消化後UPLC-TOF/MSにてペプチド分析を行った。得られた10000以上のMSスペクトルデータ(ノイズを含む)の中から多変量解析により、BITCおよびPEITCが付加したペプチドの抽出を行った。さらに、同様のサンプルのLC-Q-TOF/MS分析により、標的ペプチドフラグメントの同定および標的アミノ酸の同定に成功した。
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