材質に応じたX線照射条件を調べるために、シミュレーションソフトウェアGEANT4を用いて、X線透過率を定量的に導き出すことによって、文化財を構成している材料に応じたX線透過撮影のための最適条件を定量的に導き出す手法の構築を行った。本年度は内刳りを有する木材と顔料を塗ったしっくい板を想定して計算を行い、日本文化財科学会第28回大会にて成果発表を行った。 X線透過撮影による現地調査を行うにあたっては、X線管球と検出器が必要となる。調査の対象となる文化財はこれら2つの機材の間に置かれることになるので、機材の転倒などによる事故が万一にも起こらないようにするための万全の準備が必要である。このような状況を鑑みて、専用の可搬型固定具の製作を行った。 GEANT4を用いた方法でX線照射条件のための最適条件をあらかじめ算出しておき、上記の専用固定具を用いて、仏像の内部構造、納入品の有無を調べるための調査や大型の哺乳類の標本資料の調査などを行った。
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