研究課題
ニシオンデンザメの行動データの解析を進め、論文を執筆した。本種の遊泳速度(0.34~0.73m/s)は今までに測定された大型魚種(カジキ、チョウザメ、マンボウ、サメ等)に比べて著しく遅かった。また、尾びれの振動数(0.15Hz)も同サイズの他の海洋動物に比べて遅かった。こうした緩慢な動きは、温度低下による代謝速度や筋肉収縮速度の低下(Q10効果)を考慮すると定量的に説明できた。したがって、本種は低水温に対して特殊な適応をしているわけではなく、むしろ低水温の影響をまともに受けていると考えられた。海洋動物の行動が水温にどう影響されるかは、気候変動のインパクトを計量化するための緊急の研究課題であるが、いままでは飼育環境下でしか調べられていない。本研究では初めて北極海の魚類の遊泳能力を測定し、水温の影響を考察した。この論文は完成に近付いており、23年度の早い段階にJournal of Experimental Biologyに投稿予定である。サメの遊泳能力と水温の関係をより明瞭に示すために、温帯域のオオメジロザメの遊泳能力を計測するフィールド調査を行った。しかし、延縄を2週間連続して仕掛けたのにも関わらず、残念ながらオオメジロザメは一匹も捕獲することができなかった。ホッキョクグマのフィールド調査を23年度の4月に実施すべく、ノルウェー極地研究所のJon Aars博士と密に連絡を取り合い、データロガーのテストや切り離し装置のための浮力体の切削加工等、準備を進めた。
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