研究概要 |
本年度は,夏期にアラスカおよび中国の氷河の調査を行った,アラスカの氷河は,アラスカ山脈グルカナ氷河,ワーシントン氷河,ハーディング氷原の3カ所で行った.どの氷河も2000年から2001年にかけて調査を行っており,今回はそれから約10年が経過して調査となった.グルカナ氷河では,10年前に比べて氷河の縮小が目に見えて顕著であった.氷河表面の不純物量や有機物量の測定の結果,特に末端付近と中流部雪線付近で不純物量が増加していることが明らかになった.表面の藻類の分析の結果,群集構造に大きな変化はみられなかったが,末端付近と中流から上流部にバイオマスの変化がみられた.今後,各微生物のバイオマス,種構成を詳しく分析する予定である.ワーシントン氷河は,10年前に比べて末端の後退が著しかった.ハーディング氷原でも雪線位置の変化がみられた.今後これらの氷河のサンプルについても,生物化学分析をすすめるよていである.中国の氷河の調査は,天山山脈のウルムチNo.1氷河でおこなった.前回の調査2007年から,若干の末端や雪線の後退がみられた.クロロフィル濃度や表面アルベドには大きな変化はみられなかった.今後微生物群集の分析を勧める予定である.今回,このアラスカと中国の調査を行うことができたことから,今後これらのサンプルの分析によって本プロジェクトの微生物群集に与える影響を具体的にあきらかにできるめどがついた.
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