カーボンナノチューブ(CNT)の繊維状粒子を気相中で分離をする上で必要な粒子の単分散化に関してポリスチレンラテックス(PSL)粒子およびディーゼル粒子(DEP低負荷時、高負荷時)を対象として予備実験を行った。発生させた多分散粒子を微分型電気移動度分析器(DMA)により電気移動度の違いを用いて特定の粒径の単分散粒子とするが、実際には電気移動度では区別できない分級対象とする粒径の一価荷電粒子とそれよりも粒径が大きな多価荷電粒子が混在する。そこで、DMAの後にエアロゾル質量分析計(APM)に導入して、質量の違いも利用した分離法を検討した。DMA-APMを通過した粒子を捕集し、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって結果を確認した。まず、粒径、粒子密度が既知のPSL粒子の検討により、系の基本的な性能を確認できた。DEPに関してもAPMを併用することにより、DMAを単独で用いた場合よりも、高精度に単分散化できることに成功した。ただし、分級目的とする粒径が50nm以下の場合は、粒径毎の粒子の比重の違いや一価荷電粒子と二価荷電粒子の質量差が小さいことから、著しい効果が得られない場合があることが分かった。 上記に検討して得られた質量が等価である無帯電単分散粒子について、エレクトリカルエアロゾルディテクターと凝縮核計数器を用いて粒子一個あたりの帯電量(荷電効率)を求めた。なお、荷電効率は粒子長さと線形の関係であるが、粒子長さとTEM観察による投影断面積から求めた等価径との比較を行ったところ、それぞれの粒子種において線形の関係が見られた。PSL粒子は10%以内の相違であった。またDEPについては、等価径に対する粒子長さは低負荷時、高負荷時それぞれ0.79倍、1.28倍であった。粒子の形態によって関係が異なることが示唆された。 別途CNT粒子の発生に成功したことから、次年度はCNT粒子を対象とする。
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