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2010 年度 実績報告書

X線マイクロビームを用いたクラスターDNA損傷による生物効果の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21681006
研究機関(財)電力中央研究所

研究代表者

冨田 雅典  (財)電力中央研究所, 原子力技術研究所, 主任研究員 (00360595)

キーワードクラスターDNA損傷 / マイクロビーム / X線 / 放射線影響 / バイスタンダー応答
研究概要

1.クラスターDNA損傷の線量依存的な質的変化の解析:軟X線マイクロビームを細胞核の一部に照射し、クラスターDNA損傷の線量依存的な変化を観察した結果、照射領域内の線量が1Gy以下ではPARP-1が集積するDNA1本鎖切断(SSB)タイプのクラスターとなり、それ以上の線量では、53BP1等のDNA2本鎖切断(DSB)修復タンパク質が集積するDSBタイプのクラスター損傷として認識されることを明らかにした。この結果より、局所的なDNA損傷の数(密度)が、損傷認識の機構と密接に関連することが示唆された。
2.クラスターDNA損傷のタイムラプス観察による解析:GFP等の蛍光タンパク質を融合したヒストンH2B、NBS1、Ku80を発現した細胞を用い、マイクロビームを細胞核に照射後、タンパク質の局在変化を一定時間ごとに観察した。予想に反し、ヒストンH2BとKu80は、照射部位に集積しなかった。一方、NBS1は蓄積するものの、細胞ごとの蛍光強度の差が大きく、線量依存性を見るには至らなかった。今後も改良を加えて解析を行う予定である。
3.マイクロビーム照射によるがん細胞致死効果の解析:正常型p53、変異型p53を発現した細胞、およびp53を欠失したがん細胞を用い、バイスタンダー応答による細胞生存率の変化を解析した。マイクロビーム2Gyを5細胞のみに照射した場合、変異型p53細胞では約10%以上の細胞でバイスタンダー細胞死が生じたが、正常型p53細胞とp53欠損細胞では、ごくわずかにしか生じなかった。比較のため、X線ブロードビームを試料全体に照射した場合には、バイスタンダー細胞死の場合とは異なり、正常型p53細胞が他の細胞と比較して顕著に高い感受性を示した。以上の結果から、がん細胞に多くみられる変異型p53細胞は、バイスタンダー細胞死を生じやすいことが明らかとなり、放射線がん治療においてバイスタンダー応答が生じるとしても、その効果はがん細胞により高く現れる可能性を示した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Involvement of DNA-PK and ATM in radiation- and heat-induced DNA damage recognition and apoptotic cell death2010

    • 著者名/発表者名
      Masanori Tomita
    • 雑誌名

      Journal of Radiation Research

      巻: VOL.51 ページ: 493-501

    • 査読あり
  • [学会発表] X線マイクロビーム照射によって生じたDNA損傷に対するDNA修復タンパク質の応答2010

    • 著者名/発表者名
      冨田雅典
    • 学会等名
      第48回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      東北大学(宮城県)
    • 年月日
      2010-09-20
  • [学会発表] Microbeam X-ray irradiation system at CRIEPI and its use in bystander response2010

    • 著者名/発表者名
      Masanori Tomita
    • 学会等名
      9th International Microbeam Workshop
    • 発表場所
      Technical University of Darmstadt (ドイツ)
    • 年月日
      2010-07-15
  • [備考]

    • URL

      http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/result/results.html

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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