レアアースは自動車や電子部品に必要不可欠な金属であり、安定な供給が必要である。その方法の一つとして、廃棄物からのレアアースの回収が挙げられる。本研究では、廃棄物の処理過程において発生する廃液中のレアアースの回収を想定し、層間にキレート剤であるedtaイオンをインターカレートしたCu-Al系層状複水酸化物(edta型Cu-Al LDH)を用いた、水溶液中からのSc^<3+>、La^<3+>及びY^<3+>の捕捉を検討した。 炭酸型Cu-Al LDHを200℃、4hで仮焼することにより、Cu-Al oxideを調製した。Cu-Al oxideをedta溶液に投入し、60℃、3hで攪拌することによりedta型Cu-Al LDHを合成した。1mMのM^<3+>(M^<3+>=Sc^<3+>、La^<3+>、Y^<3+>)水溶液500mlに、edta型Cu-Al LDHをedta/M^<3+>=1、2、3となるようにN_2流通下、30℃、300rpmの条件下で加え、2h攪拌した。対照実験として、実験に用いた最大量のedta型Cu-Al LDHと同量のNO_3型Cu-Al LDHでの捕捉実験も行なった。 Sc^<3+>、La^<3+>及びY^<3+>濃度の経時変化を検討した結果、時間の経過と共にSc^<3+>、La^<3+>及びY^<3+>濃度は低下し、edta/M^<3+>モル比が大きいほど濃度低下が大きかった。また、edta型Cu-Al LDHによる濃度減少は、NO_3型Cu-Al LDHに比べて大きかった。edta型Cu-Al LDHによるSc^<3+>、La^<3+>及びY^<3+>の捕捉は、層間でのedtaイオンとのキレート錯体形成によると考えられる。また、捕捉量はSc^<3+>>Y^<3+>>La^<3+>の順で大きかった。これは、edtaイオンとのキレート錯体の生成定数(pK)がSc^<3+>(23.1)>Y^<3+>(18.1)>La^<3+>(15.5)であることに起因すると考えられる。
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