研究課題/領域番号 |
21681007
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
亀田 知人 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60333895)
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キーワード | 層状複水酸化物 / 銅-アルミニウム系 / 有機修飾 / 捕捉 / 速度論 / 平衡論 / 生成物層内拡散律速 / Langmuir |
研究概要 |
本研究では、金属と安定な錯体を形成するキレート剤edtaをインターカレートしたedta型Cu-Al系層状複水酸化物(edta型Cu-Al LDH)を用いた、水溶液中からのレアメタルイオン捕捉の速度論及び平衡論的解析を行った。 反応初期段階におけるedta型Cu-Al LDHによるレアアースの捕捉は、レアアースのLDH層間への拡散過程が律速であると仮定して、生成物層内拡散律速の式1-3(1-x)^<2/3>+2(1-x)=kt(x:反応率、k:速度定数、t:時間)を用いて、10~30℃のデータで検討した結果、良好な直線関係が成り立った。これより、本反応における反応初期における律速段階はLDH層間へのレアアースの拡散過程であるとわかった。その際求めた速度定数を用いたアレニウスプロットの直線の傾きから求めたレアアース捕捉における活性化エネルギーは、Sc^<3+>、La^<3+>およびY^<3+>でそれぞれ19.6kJ/mol、36.0kJ/mol、28.8kJ/molとなり、拡散律速として妥当な値(40kJ/mol以下)を示した。吸着等温線はLangmuir式の変形により得られる式C_e/q_e=1/K_Lq_m+C_e/q_m(C_e:平衡濃度、q_e:平衡吸着量、q_m:飽和吸着量、K_L:平衡定数)を適用し、解析を行った。良好な直線関係が得られたことから、本反応ではedtaとレアアースが1:1錯体を形成していると考えられる。また、平衡定数K_Lを求めると、Sc^<3+>、La^<3+>およびY^<3+>で、それぞれ4.4、0.4、0.9となった。これより本反応における見かけの平衡定数の序列はSc^<3+>>Y^<3+>>La^<3+>となり、レアアース錯体の安定度定数の序列と一致した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機修飾層状複水酸化物の合成、水溶液からのレアメタルイオンの捕捉、捕捉反応の速度論及び平衡論的解析を達成できているため。
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今後の研究の推進方策 |
水溶液からレアメタルイオンを捕捉した有機修飾層状複水酸化物からの、水溶液中へのレアメタルイオンの濃縮回収を検討する。また、有機修飾層状複水酸化物を構成する金属イオンの検討、キレート錯体形成能を有する有機酸アニオンの検討も行う。
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