研究課題
これまで主として栄養塩の吸収・除去による富栄養化対策に用いられてきた水生植物による水質浄化法(植生浄化法)とその根圏に棲息する微生物(根圏微生物)の共生系を1つのシステムとして扱い、微生物の各種化学物質分解能も活用する新規ファイト/バイオレメディエーション技術へと展開するべく、各種汚染への適用範囲が広く、経済的かつ効率的な"根圏浄化法"の確立を研究の全体構想としている。本研究では、そのうち、特に水生植物による特定の根圏微生物の選択的集積メカニズムを明らかにし、根圏浄化法を合理的かつ効果的に適用するための知見を集積した上で、化学物質汚染浄化に資する根圏浄化法のプロトタイプを構築することを目的として、平成21年度はウキクサを対象として、分解促進効果が得られる化学物質種を明らかにするとともに、分解促進効果が認められた化学物質がウキクサと根圏微生物に及ぼす影響について、根分泌物成分の解析・同定と根圏に選択的に集積された微生物の特徴づけを実施した。ウキクサ根圏では、これまでに生分解の報告のない4-tert-ブチルフェノールが有意に分解されることを明らかにし、この分解微生物がウキクサ根圏に集積されていることを示した。またその特徴づけを行い、分類学的な特徴や分解酵素遺伝子がこれまでに知られている各種アルキルフェノール類分解関与微生物とは異なることを示した。また、ウキクサの根分泌物の解析に着手し、4-tert-ブチルフェノールやフェノールに曝露された際に変化する根分泌物成分についてHPLCベースでのピークリストを作成した。
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Water Research 43
ページ: 3765-3776
環境技術 38
ページ: 633-641