研究概要 |
特殊な条件での加熱圧縮成形により、添加剤なしで、もみ殻と微切断炭素繊維から製造する軽量高強度なエコ複合材料に、より優れた力学特性を発現させるため、以下の二つの研究を実施した。 1.エコ複合材料の優れた力学特性を得るための製造条件最適化 昨年度までに培ったエコ複合材料の製造技術および力学特性評価技術を十分に活用して、かさ密度、曲げ強度、圧縮強度、硬さ、動摩擦係数、比摩耗量等の力学特性と製造条件の関係を明確にした。同時に、優れた力学特性を得るための製造条件の最適化を行った。また、これまでディスク状に成形していた試料を、曲げ強度や摩耗特性を評価しやすい板状に成形することに成功し、板状試料での試験を実施した。生のもみ殻に繊維長さ0,24mmの炭素繊維を20mass%添加し、ポストプレス温度が300℃のエコ複合材料は、優れた力学特性(かさ密度1.19g/cm^3、ショア硬さ76HS、曲げ強度41MPa、圧縮強度150MPa、動摩擦係数0.22、比摩耗量2.6×10^<-9>mm^2/N)が得られた。 2.エコ複合材料の優れた力学特性の発現機構に関する研究 製造条件の異なるエコ複合材料の表面および内部構造を電子顕微鏡、元素分析およびX線回折を用いて、熱分解および熱収縮などの機械特性変化の挙動を熱重量分析と熱機械分析等を用いて分析した。特に、炭素繊維ともみ殻に由来する母材の界面状態および破壊・摩耗挙動について注目した。その結果、炭素繊維と母材であるもみ殻粉末の良好な接合性および密着性は極めて重要であることが示された。そして、上述の分析結果と力学特性の相関を十分に考察し、エコ複合材料の優れた力学特性の発現機構を明らかにした。
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