研究課題
前年度までに、光学顕微鏡に搭載可能なコンパクトな高速AFMを試作したが、顕微鏡本体の剛性が低く床振動の影響を受けて鮮明なイメージングをできないことが判明した。また、これまでカンチレバー走査のための変位検出用レーザーの光軸トラッキングには、スキャナーに取り付けたDVD用小型対物レンズをカンチレバーと同期して2次元走査するデュアルスキャナー方式を採用してきた。しかしながら、この方法ではAFMの観察視野を移動すると光軸トラッキングの精度が著しく低下することが分かった。今回、対物レンズの前に配置された反射ミラーの傾きをカンチレバーの走査と同期して変える光軸トラッキングを検討した。実際にミラーの傾きを変えた時に対物レンズからの出射レーザーのスポット位置を20μm近く水平移動できることを確認し、高速走査でもカンチレバーの移動に応じて大きく振動することなくスポット位置も走査できることを確認した。ミラー走査方式を採用し、かつ光学部品を吊り下げ方式で固定する小型AFMヘッドを製作した結果、振動ノイズの低下と光軸トラッキングの高精度化に成功した。これによりタンパク質GroELを10 frames/sのフレーム速度でイメージングでき、またアクチンフィラメントのグライディング運動を観察できた。さらに、マイカ基板に固定した直径40nmのプラスチックビーズを高速AFMと蛍光顕微鏡で、同視野を同時観察することにも成功した。一方、高速AFMによる細胞およびバクテリア観察に向けた広範囲走査可能なスキャナーを試作した。アクティブダンピング法を用いた振動制御を行った結果、40μmの走査範囲を2秒程度で観察できることを確認した。これを枯草菌の溶菌過程の観察に適用し、枯草菌の表面がリゾチームにより破壊されていく様子を観察することに成功した。
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Nature Protocols
巻: (in press)
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