研究課題
本研究では主に強磁性半導体を用いて電気的に磁化を操作することを目的としている。大きな目的は、外部磁場を用いずに電界(ゲート絶縁層を介した強磁性体への電圧印加)のみで磁化をスイッチすることである。本年度の主な成果は以下のとおりである。まず代表的な遷移金属強磁性体であるコバルトの磁気相転移を室温付近で電界誘起することに成功した。これまで強磁性半導体において同様な現象を観測してきたが、強磁性金属において磁性を電界スイッチすることは世界で初めての成果である。±10Vのゲート電圧印加により、強磁性相転移温度が最大で12K程度変化することが分かった。本成果はNature materialsに掲載された。また、ゲート絶縁層の代わりにイオン液体とコバルト界面に形成される電気二重層を用い巨大な電界を印加することで、強磁性相転移温度の制御温度範囲を室温を挟んで100K程度にまで増大することにも成功した。同時に制御ゲート電圧も1/5に低減することに成功し、低電力動作と室温での制御性を実証することができた。本成果はApplied Physics Lettersに掲載された。これら成果は招待講演4つを含む国際会議、国内会議でも発表し、広く公表することができた。また、コイルに電流を流すことなく磁性体の漏れ磁界を電圧でオンオフできることができるため、電圧駆動型の電磁石への応用が期待できる。同概念に関する特許を出願中である。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (13件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
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