コンクリート表面に生したひび割れは、コンクリートと補強材の界面に局部的なせん断力を生じさせるため、補強材の剥離を引き起こす恐れがある。そこで、コンクリートひび割れ時に生じるひずみ分布変化を詳細に確認するために、高い位置分解能を有する分布型光ファイバセンサを表面に貼付した小型コンクリート試験体の引張試験を実施した。試験体中央部に生じたコンクリートひび割れの進展に応じて、光ファイバセンサでびずみ分布を測定した。その結果、今までにない高密度な測定によってひび割れ近傍のひずみ分布を明らかにし、ひずみの最大値や分布形状が、接着剤などの光ファイバセンサの設置方法に依存することを確かめた。また、ひび割れ部から光ファイバセンサ部へのひずみ伝達と、光ファイバセンサの位置分解能のそれぞれを考慮したひずみ分布モデルー提案し、小型試験結果によって本モデルの適用性を一部確認した。これらの結果は、FRPなどのコンクリート補強材に生じたひずみ分布測定結果から、ひび割れなどのコンクリート表面状態やコンクリート補強材の剥離などを推定するにあたって大きく寄与するものである。一方で、高い位置分解能を有する分布型光ファイバセンサ測定器の高度化に取り組み、測定器内部の基板を再設計するなどし、操作性の向上とともにひずみ測定精度の安定化をすすめた。さらに、FRP補強材への実装用光ファイバセンサの検討を行い、光ファイバセンサを織り込んだガラス繊維材料を設計、試作した。
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