研究課題
ガラス繊維シートそのものに、光ファイバセンサを織り込んだFRP補強シートを試作した。本シートによれば、光ファイバセンサに沿ったひずみ分布が計測できるため、1)シートの補強効果などを確認すること、2)剥離などの局部的な損傷をひずみ変化として検知すること、が期待できる。さらに、高い位置分解能を有する分布型光ファイバひずみ測定器による高密度なひずみ分布を測定すれば、3)シート界面の剥離破壊モデル(応力-変位モデル)を明らかにすること、が可能である。その性能検証のために、本シートで補強された小型コンクリート試験体を用いた引張試験を実施した。あらかじめ試験体コンクリート中央部には切り欠きを施したため、引張りによって切り欠き部から補強シートの剥離が生じた。補強シートのひずみ分布を、光ファイバセンサで約6mmの間隔で測定した。測定の結果、切り欠き部近傍に生じたシートの剥離を、一定のひずみ分布を示す範囲として検知することができた。また、光ファイバセンサによる高密度なひずみ分布から得られる剥離部の応力-変位モデルは、既往の研究による代表的なモデルと比較して妥当なものであった。これらの結果により、本シートの一定の性能を検証することができた。つまり、シートによる補強後にはその補強工法の検証手段として、地震直後などにはその補強健全性の確認手段として、寄与できる。さらには、得られた破壊モデルは学術的な意義に加えて、設計などへのフィードバックが期待できる。
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ASCE Journal of Structural Engineering
巻: Vol.136, No.8 ページ: 1001-1008