研究課題
これまでの研究により、私が開発した植物ホルモンオーキシンによるタンパク質分解系を、出芽酵母および動物培養細胞に移植することで特定のタンパク質をオーキシン添加により分解するAID (auxin inducible degron)システムの基礎は確立されていた。本年度は化このシステムの動物細胞における有効性を確認する実験を行った。そのためにニワトリ培養細胞DT40細胞において、実際の生存に必須な染色体制御因子CENP-HのAID発現コントロール株を作成し、この株の表現系と既存の転写レベルでの発現コントロール制御法と比較した。その結果、オーキシン添加によりCENP-Hは細胞内から30分以内に除去され、細胞周期は12時間以内にCENP-Hが機能するM期に停止することが分かった。これは転写制御法がCENP-H除去に36時間もかかることと比べると、AIDは極めて効果的に機能しており、実際に因子の機能を反映した表現系が非常に短時間で現れることが明らかになった。これまでの研究成果は、ArticleとしてNature Methods誌の2009年12月号に掲載された。一方、現在使用しているAIDシステムの改良も進めている。現在のAIDシステムでは標的タンパク質に25kDの分解標識(デグロン)を付加する必要があるが、これを縮小することを試みている。現在の9kDの縮小デグロンでも同等に機能することを確認した。今後はこの縮小型デグロンを用いてさらなるシステムの改良を行う予定である。
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Nature Methods 6
ページ: 917-922
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/newinfo/info50.html