研究課題/領域番号 |
21683004
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
多田 治 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 准教授 (80318740)
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キーワード | 沖縄 / イメージ / 観光 / ハワイ / 移動 / メディア / 先住民 / 軍事 |
研究概要 |
研究代表者は平成22年度から継続して、沖縄・観光・イメージ等の研究をグローバルな文脈に位置づける基礎研究に取り組んだ。平成23年4月には、UCサンタバーバラでこの分野の研究者と情報交換し、文献収集も行えた。 帰国後、5月には台湾と沖縄の映画・イメージの比較分析を行い、研究成果を論文にまとめた。また5月からは東日本大震災と原発事故をうけて、核の軍事利用と平和利用の二重性について文献調査を行い、太平洋のマーシャル諸島や米本土のネバダ州、日本国内の原発導入、沖縄の核密約などの問題を関係づけて考察し、7月に学会シンポジウムで報告し、議論を深められた。 6月中旬には中国・上海でグローバル・コンソーシアムに出席し、貴重な情報交換と研究者交流ができた。 8~9月には社会学理論やグローバル化の基礎となる知見をまとめ、11月に単著『社会学理論のエッセンス』を出版し、広く伝える機会を得た。 10~1月には新著『ショック・ドクトリン』の講読と並行して、ネオリベラリズム・TPP・911テロ・災害バブル・イラク戦争・金融恐慌・沖縄核密約などの多様なトピックを掘り下げる中で、グローバル化の複雑な諸問題をよりトータルに把握する作業が行えた。- 12月末からは、沖縄との比較対象としてハワイに注目し始めた。12月末~3月上旬に基礎文献・先行研究の収集・整理・読解を行い、3月に2週間現地へ行き、資料収集とフィールドワークを行った。軍事化された島が、観光地にもなってきた。沖縄をハワイやグアムとの対比や連続性でとらえる射程を得たことで、地理的・歴史的な広がりと深みを確保できたのは大きな収穫であり、これまでのグローバル化の基礎研究に具体的な内実も与えられた。 3月末には沖縄の復帰40年国際シンポジウムで、基地問題のセッションで司会とコメンテーターを務め、上記の一連の知見を提示して議論を深め、貴重なフィードバックが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
継続的なグローバル化の基礎研究に依拠しながら、沖縄とハワイの比較研究の視座を得られ、作業を進められたことは大きい。文献研究と現地調査、研究成果報告のサイクルを繰り返し、着実に前に進められた。グローバルとローカルの関係や、観光・移民・メディア・イメージ形成・文化変容などの諸問題に向けて、沖縄とハワイの比較研究に着手できた点が収穫である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果をもとに、今後は主にハワイ・グアム・沖縄の事例研究・比較研究に力を入れ、文献・資料読解の作業に加え、夏季・春季休業期間の現地調査期間を長めにとり、現地での資料収集やヒアリングに重点を置く。分析や報告作成の作業にも、できる限り多くの時間をとりたい。
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