研究課題
次世代の中間赤外線高効率観測を行うためのイメージスライサ型分光器のプロトタイプMIRSISの開発を進めた。平成21年度はこのスライサ光学系を組立て、スライサ系システムとしての評価・調整を行った。その結果、スライスミラー長辺の設置精度がおおむは目標の0.04度以内の精度でできたものの短辺方向の設置精度が最大0.12度になったが、装置全体としては実用上問題ない範囲である。ただし現行の擬スリットミラー設置ではガラス平面鏡および(ないし)平面鏡マウント面の平坦性が悪く設置精度が出ていない、スライスミラーが製作時ないし保管時に反りを生じた、等の問題点が新たに見つかったため、今後、別のイメージスライサ装置を製作する場合にはこの点に留意した設計をする必要がある。光学系については、スライサ系と他の全ての光学系を組立てて調整するための調整システムの立上げを行い調整を開始した。これは、市販のX軸ステージとZ軸ステージに、市販のレーザ測距計をY軸測定用に組み合わせて、光学部品のミラー面位置の測定を、ミラー表面の測定で行うもので、ミラー表面を直接測定できない場合にはミラーに対する相対位置マーカも用いる。測定精度を高めるため、被測定物の設置を工夫し測定回数を増や工夫を行った。平成21年度には、この他に二つの検出器システムの立ち上げや、フィルター・レンズ交換等に用いる駆動系の立ち上げも進めた。これにより、平成22年度からは、装置全体として調整・実験室評価を行う段階に至っている。また並行して、次世代大型30m地上望遠鏡TMT用の中間赤外線装置の検討をサエンス・装置両面から進めた。ここにはMIRSISでの面分光機能開発の状況を適宜反映した。また、すばる望遠鏡による星周円盤データの解析を進め、大質量星周円盤を発見し詳細な性質を明らかにした。これは将来のMIRSISでの面分光の良いターゲットとなる。
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