研究課題
宇宙の第一世代の星は重元素をまったく含まない始原ガスから形成された。このような星の質量がどれくらいであったのかは以後の宇宙における天体の形成過程に多大な影響を与える。そこで、我々は原始銀河環境が形成される星の性質にあたえる影響を調べるため、宇宙論的シミュレーションで得られた多数の原始銀河ハローの内部での初代星形成過程を2次元輻射流体計算によって解析した。その結果、生まれる星の典型的な質量は数10太陽質量であるが、なかには数100太陽質量にも達する大質量な成分も存在することが分かった。初代星形成の際には、原始星の周囲の降着円盤が、その原始星からの輻射により加熱され蒸発することにより、原始星の降着成長が止まることにより、星の質量が決定される。したがって円盤ガスの蒸発率が原始星や降着流の性質の関数として与えられると物理過程の理解に有用である。そこで我々は2次元軸対称な系での輻射輸送計算を行うことにより、このような関数形を見出し、原始星の成長が止まる時期を考察した。我々の半解析的なモデルはこれまでの数値実験の結果をうまく再現していることも分かった。微量の重元素をもった第二世代以降の初期世代星の形成に関して、原始星が降着成長する際に、その周りに形成される降着円盤の重力不安定性を定常円盤モデルを用いて調べた。その結果、重元素が全くない始原ガスの場合と重元素が太陽程度ある現在の星間ガスの場合には円盤は比較的安定であり、せいぜい連星か少数の星団しかできないと予想されるものの、微量の重元素を含むガスの場合は非常に不安定であり、多数の星に分裂することが分かった。その結果、このようなガス中では小質量星が形成される傾向が強いことが明らかとなった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
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The Astrophysical Journal
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