宇宙の初代星は重元素を含まない水素とヘリウムのみからなる始原ガスから形成される。初代星の質量は、その後の天体形成に多大な影響を与える重要な量である。我々は宇宙論的なシミュレーションから得られた初期条件のもとで、初代原始星の誕生と、周囲の物質を重力によって引き寄せて成長する過程を輻射流体計算によって解析した。その結果、中心の原始星が太陽の約40倍の時に星からの強力な紫外線が周りの物質を加熱し、外側に吹き飛ばすことで星の成長が終わることが分かった。太陽の数10倍という結果はこれまで考えられてきた値よりも小さいが、銀河中の低金属度星の元素組成の観測から推定されている値とは整合的である。
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