研究課題/領域番号 |
21684011
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
谷田 聖 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究員 (00360587)
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キーワード | エキゾチックアトム / ストレンジネス核物理 / X線分光 |
研究概要 |
この研究は茨城県東海村のJ-PARCにおいて行っているが、J-PARCは震災の影響により、ほぼ1年のあいだ停止を余儀なくされた。本研究も同様に影響を受けたため、まずは被害状況の確認を行った。幸い、実験装置に対する被害はさほど大きなものではなく、機器の再設置・再調整で済むものがほとんどであり、時間がかかったものの、なんとか復旧にこぎつけることができた。加速器側も状況は同様であり、2012年1月には実験を行うK1.8ビームラインに再度ビームが無事取り出された。その後2月に行われたビームタイムでは、まず機器類が正常に動作しているかどうかの確認を行い、その後設定の調整などを行った。その結果、ほとんどの実験機器は震災前とほぼ同等の性能を維持していることを確認することができた。また、E19実験のデータを取得し、現在解析中である。シリコン検出器の一部など、まだ故障したままの装置もあるが、それらも代替品のめどは立っており、今後の実験遂行には大きな支障はない。 その一方では、シリコン検出器の読み出しの高速化を行い、ゼロサプレッションがフロントエンドレベルで正常に実行されていることを確認した。単体レベルでの試験は終了し、2012年度で行われるビームタイムで実際の性能を試験する予定である。以上より、本研究は震災の影響を乗り越え、再び実験をする準備が整ったと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
遅れの理由は主にJ-PARCの加速器によるものである。最大の要因は東日本大震災の復旧のためにほぼ1年を要したことであるが、それ以外にもJ-PARCから引き出されてくる陽子ビームの強度および質がなかなか改善しないため、同じビームラインで先行して行われている実験が終わらない、加速器スタディに時間を取られる、などの問題によって遅れが発生している。実験グループ側は、震災からの復旧も順調に進み、現在では大きな問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
震災およびJ-PARCの加速器側の事情によって、研究は遅れているが、国内外に有力な競争相手はいないため、当初予定に沿って進めるつもりである。ただし、J-PARCから引き出されてくる陽子ビーム強度が依然弱いという問題は残っており、それに対応するために、まずは弱いビーム(予定強度の10%~20%)で2013年もしくは2014年に先行してデータを取り、その後ビーム強度が上昇するのを待って残りのデータを取る、という2段構えで研究を遂行することを考えている。
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