研究課題
10keVから数MeVでの高感度のガンマ線宇宙観測を目指し、高精度のガンマ線撮像型検出器の開発研究を進めている。本研究では、テルル化カドミウム(CdTe)半導体検出器、および、アナログLSIを読み出しに用いた多チャンネル検出器を発展させ、50-200μmという位置分解能を持つCdTe両面ストリップ検出器の実現を目的としている。本年度は、3.2cm角と大きな撮像面積を持ち、250μmのストリップピッチを持つCdTe両面ストリップ検出器の設計を完了し、製作方法を確立した。さらに、これらの製作したCdTe両面ストリップ検出器を用いて、詳細な動作試験を行うことができた。動作試験では、FWHM1-2keVの優れたエネルギー分解能と、均質な性能を得られることを確認した。測定データを詳細に解析し、複数ストリップにまたがるイベントと一つのストリップにのみエネルギーを検出したイベントの割合を使うことで、ストリップピッチの250μmより優れた200μm以下という位置分解能を得ることができることが分かった。さらに、1週間、連続で動作させる長期測定を実施し、性能の変化を測定した。結果として、変化の割合は、1週間で1%以下と小さく、さらにバイアス高電圧印可のオペレーションを工夫することで1ヶ月や1年間という長時間、性能の変化を小さく抑えたまま測定できることを実証した。これは、実際に宇宙観測を行う場合、非常に重要であり、両面ストリップ型のCdTe半導体検出器では、初めて、実証することができた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Nuclear Instruments & Methods in Physics Research.A
巻: 624(2) ページ: 303-309
Nuclear Instruments & Methods in Physics Research. A
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Proceedings of SPIE
巻: 7732 ページ: 77321L(論文番号)