研究課題
重い電子系超伝導体β-YbAlB_4において、まず、平均自由行程が1μmの純良単結晶の育成に成功した。また、磁化および比熱の測定を極低温まで詳細に測定を行った。特に磁化の温度・磁場依存性を解析した結果、単純なスケーリング則を見出し、この系においてゼロ磁場量子臨界点が存在することを明確にした。さらに、Yb系の重い電子系では大変めずらしく量子振動の測定に成功し、3次元的な電子状態を明らかにした。この量子臨界点がf電子系では初めて価数揺動を伴い現れていることを見出した。また、2.7GPaまでの圧力下の電気抵抗測定を行い、圧力下での量子臨界現象を詳細に調べた結果、通常の磁気量子臨界点はこの系では2GPa近傍に存在することが明らかとなった。このことは、常圧での量子臨界性が全く新奇なものであることを明確に示す結果である。次にフラストレートした磁性の研究として、パイロクロア酸化物Pr_2Ir_2O_7のホール伝導度を測定し、ホール効果が外部磁場・磁化がない状況でも低温で現れることを金属で初めて見出した。また、このことがカイラルスピン液体状態を考えれば説明できることを示した。Pr_2Ir_2O_7においてμSRの測定を行い、この液体状態においてスピンが実際に動的であることを確認した。2次元三角格子系NiGa_2S_4においては、硫黄の濃度を精密に制御することで純良単結晶を育成しその特性を明らかにした。特に電子スピン共鳴測定についての大阪大学の萩原グループとの共同研究から三角格子に特徴的なスピンのつくる渦が対生成する相転移が現れている可能性を指摘した。また、その類縁物質FeGa_2S_4とFe_2Ga_2S_5について圧力下の電気伝導性を明らかにし、圧力誘起の興味深いスピンガラス・固体相転移の可能性を議論した。
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