研究概要 |
初年度は角度分解熱膨張測定装置の開発を行った。角度分解熱膨張測定システムは,スプリットペア型超伝導マグネット(最大磁場8テスラ),ソープション式ヘリウム3冷凍機,冷凍機用回転機,熱膨張計からなる。本年度前半は,この装置を設置する実験スペースとして総合研究棟1階ベンチャービジネスラボラトリー極限環境先進材料評価システム装置室内の改修工事を行った。またスプリットペア型超伝導マグネット,ソープション式ヘリウム3冷凍機の入札を行い,翌年1月末に納入された。ヘリウム3冷凍機(Oxford社製)は試料を最低温度230mKまで冷却することができ,無負荷の状態では230mK以下の温度を90時間以上保持できることを確認した。スプリットペア型超伝導マグネットは,励磁用電源の初期不良により2ヶ月近い修理期間を費やしたあと戻ってきた。またヘリウム3冷凍機をコンピュータ制御の回転機構により回転させる冷凍機用回転機は,現在メーカーに改良をしてもらっているところである。したがって,すべての装置が揃い次第,動作チェック,測定試験を随時行う予定である。今年度は年度末まで装置が揃わなかったため,その間に立方晶系希土類化合物の単結晶試料育成を行った。その結果,高周波誘導炉を用いてNdCu_4Ag, SmCu_4Ag, PrCu_4Agの純良単結晶試料育成に初めて成功することができた。今後はこれらの試料の角度分解熱膨張測定を行う予定である。
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