研究概要 |
粒径が数ミクロン程度の非球形粒子から構成される粉体層に水滴を落下させ,粉体層に形成されるクレーターの形状と衝突のダイナミクスを測定する実験系を構築し,系統的にデータを取得した.従来の研究では粉体層に固体弾を衝突させた場合のクレーター形成ダイナミクスが惑星科学との関連からも関心が持たれ盛んに研究されてきた.しかしながら,粉体と水滴の衝突は流体と粉体の相互作用という産業応用上非常に重要な問題でありながらこれまで研究されて来なかった.水滴と粉体の衝突を詳しく調べることにより,粉体の基礎物性を明らかにすることと,応用展開の礎を築くことを目標に実験および解析を行った.水滴の衝突速度と粉体層の粒径を変化させ,衝突の様子を高速度カメラで撮影し,形成されたクレーターの形状をレーザー変位計を用いたシステムで測定した.それらのデータを元に衝突を特徴付ける時間スケールおよび長さスケールを画像解析的手法から算出した.得られた長さスケール(特にクレーター径)は次元解析により議論され,衝突慣性と表面張力を特徴付けるウェーバー数によりスケールされることを明らかにした.得られた結果について学会等で発表を行い今後の課題等について議論を行った.また,粉体層を積層させて固体塊を侵入させた場合の抵抗力および粉体層壁面での応力状態を計測するシステムについても実験系の構築を行った.一般の材料試験器と圧力センサーを用いてそれぞれを計測できることを確認し,系統的データ取得の準備が整った.今後,データ取得・解析を行い,粉体物理を議論していきたいと考えている.
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