研究概要 |
前年度に続き,粉体層に液滴を衝突させた場合に起こる粉体層変形の実験および解析を行った.特に今年度は昨年度得られた「粒径ミクロン程度の粉体層と水滴の衝突実験」の結果の解析および解釈を行い,成果を論文にまとめ発表した.続いて,衝突液滴として水以外にエタノール,グリセリンを用いて液滴表面張力や粘性の効果を系統的実験により調べた.更に,粉体層粒子についても粒子形状や粒子の大きさ,表面の濡れ特性等を変化させそれらの物性が衝突現象に及ぼす影響を実験的に明らかにした.具体的には,衝突により形成されるクレーターの特徴的長さスケールと衝突と液滴侵入を特徴付ける時間スケールを計測し,その物理機構について議論を行った.結果として時間スケールは粘性に強く依存する一方で長さスケールは粘性にあまり依存しないことが分かった.これらの網羅的実験および解析の結果についても論文発表を行い,学会研究会等においても積極的に発表を行った.論文や学会の発表を通した議論の中で粉体粒子のミクロな濡れ特性等を測定することが(本研究の目的の範囲を越えるものであるが)重要な今後の課題として浮き彫りとなった. また,粉体層にゆっくりと固体塊を侵入させた場合の抵抗力と応力の容器壁への伝播の様子についても実験およびデータ解析を行った.特に容器壁への応力伝播の様式についてデータ解析を進め,簡単なスケーリングにより容器壁応力状態を統一的に記述出来ることを発見した,現在は主にガラスビーズ層における一回の押し込み実験の結果について解析を行っているが,このスケーリング解析の普遍性を調べるためにサイクル押し込み実験や粉体の種類を変化させた場合の実験を行い,全体の解析をまとめて成果を発表することは次年度の課題となる.
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