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2011 年度 実績報告書

火山の爆発的-非爆発的噴火の分岐を支配するマグマの脱ガスの定量的理解

研究課題

研究課題/領域番号 21684025
研究機関東北大学

研究代表者

奥村 聡  東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40532213)

キーワード火山噴火 / マグマ / 脱ガス / 爆発的噴火 / 変形実験 / X線ラジオグラフィー
研究概要

本研究では火山噴火の爆発-非爆発を分岐する要因を明らかにすることを目的とし,その要因の一つであるマグマの脱ガス効率の定量化を行った.昨年度までの研究において,地殻内を減圧されながら上昇するマグマを,実験的に再現し「その場観察」する実験システムを構築した.この装置では,~1000℃の温度,数十MPの圧力条件下でマグマをねじり変形させることが可能であり,この装置を放射光施設SPring-8のビームライン(BL20B2)に設置することで,高温高圧条件下でのマグマの流動をX線透過撮影法やコンピューター断層撮影法を用いて観察することができる.実際に流動するマグマを観察した結果,流動するマグマ中では気泡が効率的に変形・合体することで脱ガス効率が上昇し,脱ガスに伴うマグマの緻密化が起こることで,地表へは低発泡度(高密度)の溶岩が噴出することが分かってきた.一方で,上昇中に均一にマグマが変形すると必ず脱ガスが起こってしまうため,良く発泡したマグマを爆発的に噴出するためには脱ガス効率を低下させる必要がある.
以上のような研究成果を背景に,今年度はマグマが脱ガスせずに上昇し,爆発的噴火を発生するメカニズムを明らかにすることを目的として研究を進めた.上記の実験装置を用いて変形実験を行った結果,低温・高歪速度下でのマグマの変形は局所化し,変形の局所化部分以外の領域ではマグマの変形が抑制されることがわかった.このようなマグマの変形集中によって,脱ガスを経験しない良く発泡したマグマが地表へ噴出できる,つまり爆発的噴火が発生する可能性がある.今後,より精密に火山の爆発-非爆発的噴火の分岐を明らかにするためには,マグマの変形集中の発生要因を制約する必要がある.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] The H_2O content of andesitic magmas from three volcanoes in Japan, inferred from the infrared analysis of clinopyroxene2011

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Okumura
    • 雑誌名

      The European Journal of Mineralogy

      巻: 23 ページ: 771-778

    • 査読あり
  • [学会発表] 間隙圧オシレーション法を用いた高温高圧下でのマグマの浸透率測定2011

    • 著者名/発表者名
      奥村聡・岡崎啓史・片山郁夫
    • 学会等名
      日本火山学会2011年度秋季大会
    • 発表場所
      旭川
    • 年月日
      2011-10-02
  • [学会発表] 珪長質マグマ内でのガス移動メカニズム:脆性破壊に伴う亀裂形成のその場観察2011

    • 著者名/発表者名
      奥村聡・中村美千彦・上杉健太朗・中野司
    • 学会等名
      日本鉱物科学会2011年年会・総会
    • 発表場所
      水戸
    • 年月日
      2011-09-11
  • [学会発表] 発泡したマグマの流動・変形その場観察2011

    • 著者名/発表者名
      奥村聡・中村美千彦・上杉健太朗・中野司・土山明
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2011年度大会
    • 発表場所
      幕張
    • 年月日
      2011-05-24
  • [学会発表] 剪断変形したマグマ中の気泡組織とガス浸透率の異方性2011

    • 著者名/発表者名
      奥村聡・中村美千彦・中野司・上杉健太朗
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2011年度大会
    • 発表場所
      幕張
    • 年月日
      2011-05-24

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公開日: 2013-06-26  

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