研究課題
熱帯~亜熱帯に生息する造礁性サンゴの骨格には、高時間解像度で過去の環境変動が記録されている。地震に伴う地殻変動(隆起と沈降)及び津波に鋭敏に応答する造礁性サンゴ骨格の地球化学的、古生物学的手法を用いてインドネシアスマトラ沖における過去数百年間の地震及び津波イベントを高時間分解能で定量的に復元することを目的としている。本年度は前年度までに採取した、インドネシア、スマトラ島沖メンタワイ諸島の南パガイ島及びシメル島産のサンゴコア解析の解析を行った。サンゴコア試料の軟X線画像解析からは、近過去の地震のイベントによる成長阻害構造が地震時に相当する骨格部位に観察され、また、炭素同位体比の顕著なシフトが確認された。これは、地震発生に伴う地盤沈降および隆起に伴ったサンゴから海水面までの距離が変化し、サンゴ生体部へ届く日射量が変化したことに起因すると考えられる。今後は、現代及び歴史的事象として明らかになっている地震、津波について、指標を確立する。それらの手法を化石試料に応用して、歴史事実として明らかになっていない過去の地震、津波の復元を試みる。(1)地震、津波の履歴を含む過去100~150年間のサンゴ年輪試料を取得した。(2)骨格構造、地球化学的アプローチから、過去の地震、津波の履歴を定量的に復元する。(3)化石試料の年代測定から過去の地震、津波を高解像度で探る。これらは地震・津波の記録を週スケールで過去に遡る、地震の将来予測に不可欠な時系列データとなる。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (16件) 図書 (2件)
Nature
巻: 471 ページ: 209-211
10.1038/nature09777
日本サンゴ礁学会誌
巻: (印刷中)
Proceedings of the Eleventh International Coral Reef Symposium 2008
ページ: 72-75
ページ: 87-91