22年度および繰越を行った23年度は以下の成果が得られた。 PBPピンサー配位子を有するボリル金属錯体を用いた触媒反応検討 T字型の3配位PBP-Rh錯体を水素および一酸化炭素と反応させた際に有機化合物が生成した可能性があったが、現段階までには生成した有機化合物を明らかにできなかった。一方、3配位PBP-Rh錯体とフェノールや1級アルコールの水酸基が瞬時に反応し、それぞれの場合においてPBPRhヒドリドフェノキシド錯体の生成・PBPRhカルボニル錯体の生成を観測した。種々の反応機構解析実験によって、これらの反応はOH結合の酸化的付加反応により開始され、フェノールの場合はここで反応が止まるのに対し、1級アルコールでは酸化的付加後にβ-水素脱離が進行してアルデヒドを遊離、続いてアルデヒドのCH結合が酸化的付加、さらにアルキル基の移動を経由後にアルカンが脱離してカルボニル錯体を与える反応が進行したことを明らかにした。一方、2級アルコールを用いたときも同様にカルボニル錯体を与えたが、3級アルコールを基質として3配位PBPRh錯体と反応させたところ、反応は触媒的に進行し、骨格転位を経由した生成物を与えることが明らかとなり、これはPBP金属錯体を用いた初めての触媒反応の例となった。
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